<ひな祭りイベント>福山ゆりミニ講和 ユダヤ人の家庭教育から見る「女の子の育て方」③

ユダヤ人の家庭教育から見る「女の子の育て方」

母親の役目は「What to b」を教えること

今日のイベントはお母さん方が対象なので、もう少し母親についてのお話をしたいと思います。
ユダヤ人の教育では、「何をするか(What to do)」はお父さんが教えますが、「どうあるべきか(What to be)」はお母さんが教える、という考え方があります。
日本でも「三つ子の魂百まで」と言われるほど、人格形成は幼い時期に決定されるといわれています。
その人格形成の鍵は、やはり母親がどんな人間であるか、どんな声かけをしているか、どんな姿を子供に見せているか、という点に大きく影響されます。
「子供の人格形成の鍵を握るのは母親」と、ユダヤ人は考えて教育しているのです。
「ベッドサイド・ストーリー」という言葉を聞いたことがありますか。
これは夜、眠る前に聖書の物語を子どもに聞かせるという習慣のことです。
「あなたはこんな偉大な人物の子孫なのよ」「あなたにはこういう立派な祖先がいたのよ」と語ってあげながら、「あなたはどんな人間にならなくてはいけないのか」を伝えるのです。潜在意識が活性化しやすい夜の時間に、こうしたストーリーテリングをするのが、お母さんの役割だと言われています。

安息日が「ユダヤ人のアイデンティティを守った」

ユダ人の家庭には安息日(シャバット)という習慣が週に一度あります。この日は金曜日の夜から土曜日までの1日間、何もしない。本当に仕事もしない、スマホも触らない、テレビも見ない。ただ単にご飯を食べて、祈祷をして、聖書を学び、 教会(シナゴーグ)に行って勉強し、その後は家族と一緒に過ごす。これが安息日なんですね。
ユダヤ人は、自分たちの民族が国家を持つことができなかったという背景があるにもかかわらず、数千年間自らのアイデンティティを守り続けた民族です。その要因は大きな宗教施設があったからでなく 、カリスマ的な指導者がいたからでもなく、「家族の中で安息日を守り続けたからこそ、ユダヤ人がユダヤ人らしくいられた」という言葉があるくらい、この安息日は大切にされています。
1週間に一度、すべての世俗的な仕事や娯楽をシャットアウトして、ただ家族とだけ向き合う。ある意味、非常に贅沢で、羨ましい時間の過ごし方だと思います。
私たち日本人には、1日まるごと何もしないで、家族にだけ向き合うという時間はなかなか取れないですよね。だからこそ、たとえば「金曜日の夜は家族の日にする」とか、そういう工夫をしながら、少しユダヤ人のように、家族だけの時間にしっかり向き合う。その中で「私たちはどう生きていきたいのか」「この1週間をどう過ごしてきて、これからの1週間をどう過ごしたいのか」という本質的な対話ができるような、そんな“家族の安息日”を作っていけたらいいなと思います。
この安息日には、お母さんが家庭料理を準備します。特別な食事を家族だけで食べる中で、その民族の文化や伝統を伝えていく。これは食育の一環でもありますね。

奉仕教育は「義務教育」

母親の役目としての「奉仕教育」の話をしましたが、ユダヤ人は「ツェダカー(tzedakah)」という言葉で慈善や奉仕の精神を教えます。彼らにとって奉仕や慈善は「余裕があればやるもの」ではなく、「必ずすべき義務教育の一部」です。そしてそれを教えるのは母親の役割です。
貯金箱にコインを入れる習慣も、赤ん坊のころから始めます。「誰かのために寄付する」「より大きな共同体のために貢献する」ことを学ばせるために、寄付専用の貯金箱を用意するのです。この「ツェダカー・ボックス」はその象徴です。
こうした奉仕や慈善の精神、習慣は、幼少期からの教育が必要です。20歳になって突然「寄付してみようかな」なんて思うことはないですよね。
この奉仕教育は、なぜお金を稼がなければならないのか。稼いだお金をどう使うことが最も有効なのか。こういった“労働の価値”や“経済教育”とも直結している話なのです。
EQ(心の知能指数)としての教育、「人としてどう生きるべきか」「どんな人間になるべきか」は、まさに母親の役割だと思います。私自身も一人の母親として、この部分を大切にしたいと感じています。

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