第10章「ユダヤ人を守った‘安息日の食卓’」

ユダヤ人の「安息日」

福山ゆり著アマゾン書籍「世界を動かすユダヤ人の子育て14の秘訣」から各章のポイントを簡単に記載しています。 先回は第9章「 苦しい時にこそ咲かせる‘ユーモアの花’」編ではタルムードを通して継承されてきた「知性&ユーモア」についてご紹介しながら、本来のユーモラスな人とは「自分のためでなく、誰かのためにユーモアを言える人」だとお伝えしました。

「肉的な労働から解放される日」

今回は「ユダヤ人を守った‘安息日の食卓’」編です。過去の投稿記事 第5回(第4章「ユダヤ人の母親によるEQ教育」編)で、家族と民族の伝統と文化を伝える安息日の食卓を整えることが、ユダヤ人の母親の役目であるとお伝えしました。

苦難の歴史の中で、ひたすら「安息日」を守ってきたユダヤ人ですが、この安息日こそが「ユダヤ人を守った」とも言えます。「安息日にもたらされた信仰の継承、家族間の団結」こそがユダヤ人をユダヤ人らしくさせ、結局は命綱となってきたわけです。

「安息日」とは聖書の言葉によって定めれた、ユダヤ人の大切な戒律です。天地創造を終えた神が、7日目に休まれたことから、奴隷を含めすべての人々が「肉的な労働から解放される日」として捉えます。

「家族にだけ向き合う時間」

私は大学時代に、イスラエルに旅行に行った際に、ホテルのエレベーターに「安息日用ボタン」があることを知りました。安息日には「火=電気」を決して使ってはいけないため、安息日用ボタンはエレベーターの全階に止まるように設定されています。安息日には事前に作っておいた食べ物を温めるために「保温状態のホットプレート」が重宝するそうです。徹底していますよね…

また、安息日には1キロ以上歩くことも禁じられているため、シナゴーク(ユダヤ人が安息日に行く礼拝堂)から0.9キロ以内の家に住み、同じ信仰を持った人々が近くに住みながらユダヤ人学校や商店などのユダヤコミュニティを形成するようになったという説も聴いたことがあります。

ユダヤ人はまず精神的価値を重要視するからこそ、治安がよくなり、教育熱が高い親たちが集まり、結果として地域の不動産価格も上昇していくのだとアメリカ人知人が説明してくれました。この点は、教育熱が高いからという理由で(相当の無理をしてでも)不動産の価格が高い地域に、わざわざ引っ越してくる韓国人の親とは正反対だな~と思ったことがあります。

祈るために食べるのか?食べるために祈るのか?と聞かれれば「祈るために食べる」ユダヤ人らしい生活様式ですね。この安息日には経典学習(ハブルータ)という「霊的な糧」を家族が分かち合い、ユダヤ人特有の食事を通して「肉的な糧」を分かち合います。まさに世代間の内的&外的な文化継承の場として続いてきた風習だと言えます。

大人も子どももスマホの画面に釘付けの日々の中、「家族にだけ向き合う時間」を定期的に決めて、デジタル・デドックスできる時間を持っているユダヤ人が羨ましいは私だけでしょうか。

季節の名節、家族の記念日を上手く活用した「家族デー」

ところで、私は韓国にお嫁に来て今年で19年目になりますが、韓国にも毎年民族の名節が存在しています。これらの名節も一種の内的&外的文化の継承の場だと思っています。2大名節が旧正月(ソルナル)と旧盆(チュソク)です。(さらにお祖父さん・お祖母さんの忌日にも集まる家庭もあります)

各家庭で1~2日前から料理を準備し、当日朝になると敬拝をしながら、ご先祖様に祭祀のお食事を捧げ、その儀式が終わると子供・孫たちが生まれた順番にお供え物を頂き、お食事を頂きます。

この名節については賛否両論あるのが現状です。女性達だけが台所で苦労し、男たちは祭祀の時だけ登場して、あとは遊んでいる!と家父長制の悪なる風習だと言われてきました。現代は段々と妻・嫁たちの労働を考慮して、名節を簡単に済ませたい(いっそ無くしてしまいたい)という声も大きくなっています。 実際、韓国の離婚率が上がるのがこれらの名節直後と言われるくらいです。

また都市化(道が混んでいて、田舎に帰るのが大変!)やコロナ渦によって、これらの名節を簡潔化する家庭も増えてきましたが、私はユダヤ人の安息日のように大切に守っていくべき日だと思っています。これらの名節は過去から現在、そして未来(祖父母・私たち親世代・子供達)への続いていく生命の価値を再認識し、さらには家族の一員としての責任感を持つことができる時間だと思うからです。

もちろん、我が家では夫も料理作りに参加してもらっています。^^父母(男女)が共に助け合う姿を子供たちに見せることも教育の一環だと思います。

日本にも残る数多くの季節の名節、さらには家族の記念日を上手く活用しながら、ユダヤ人の安息日のように「私と家族に集中し、再充電する時間・家族デー」を作ってみてはいかがでしょうか。定期的にスマホを切って「毎日、何のために必死に生きているのか?私&私たち家族はどこに向かおうとしているのか?」を再認識する、そんな「家族デー」は、忙しい現代人にとても必要な気がします。

 

次回は第11章「孫の教育に責任を持つ祖父母」編をお届けします。今回の「安息日」について、詳細な内容が気になる方はアマゾン書籍をぜひ読んでみてくださいね!↓

第10章「ユダヤ人を守った‘安息日の食卓’」” に対して2件のコメントがあります。

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