絵本作りが始まった経緯をお話しします。
ハブルータ仲間で、月に1回絵本ハブルータをしていました。
その中で出てくる皆さんの意見がとても面白くて、このまま終わってしまうのは勿体無い!と思いました。
ハブルータをしながら、「このお話の本質は何だろう?」「問題点は何だろう?」「私だったらどうしただろう?」「こんな後日談があったら面白いかも!」
そんな風に話がどんどん広がって『こうだったらいいな!』シリーズが出来ていきました。
絵本ハブルータを通して「絵本ってこんなに奥が深かったんだ〜」と気付かされます。
絵本ハブルータ、おすすめです!!
同好会でハブルータをする準備のため、リビングで「はだかの王様」の絵本動画を観ていると、夫がやってきました。
ちょっと関心を持ってくれたので、夫とハブルータをしてみました。
『裸であることに気付いた王様は、その後どうなったと思う?』
と夫に質問を投げかけたところ、
「王様は人間不信になってお城に引きこもる」
と答えました。
「確かに、それもわからなくはないなぁ」と思いました。
後日、同好会でハブルータをした時、一人のママさんが、
「王様は可笑しくなって大笑いし、周りの人たちも大笑い、国中みんな大笑いした」
とおっしゃいました。
夫と真逆の発想に、ハブルータの面白さを再発見しました。
自分の中になかった発想をきくと、「へぇー、そんな考えもあるんだ〜」と、心地よい刺激を受けて、脳が若返るような感じがします。
健康にも良いかもしれないですね(^^)
そして、『はだかの王様』のこうだったらいいな!は、みんな笑ってハッピーエンドの展開になりました。
はだかの王様をYouTubeで見る
「ウサギとカメ」は2作目となっていますが、実は、私たちが初めて挑戦した作品です。
全てが手探りだったので、とにかく時間がかかりました。
0から1を生みだすって大変なことですね。
実際、失敗や無駄が多かったですし、お話もてんこ盛りで反省点だらけです。
でも、楽しく前向きに頑張るおばちゃんたちの姿は格好いいと思いました。
制作過程のてんやわんやは経験値となって、「はだかの王様」以降に活かされています。
ウサギとカメをYouTubeで見る
田舎のネズミは町に行ってみて「やっぱり田舎が良いなぁ」と分かったわけだから、それはそれでハッピーエンドだし、後日談を作る必要ないんじゃないの?
と言うところからのスタートでした。
確かにそうなのですが、「私は私、あなたはあなた」っていうのも少し寂しくて、もっと楽しい展開はないだろうかとハブルータしました。
そんな中、「町に行ってみて田舎の良さが分かった田舎のネズミ、田舎に行ってみて町の良さに改めて気づいた町のネズミ、だったらこの2匹は良い情報発信ができるようになったんじゃない?観光大使にでもなったら良いんじゃない?」そんな意見が出ました。
『情報発信』『観光大使』この2つの言葉がキーワードになり、「こうだったらいいな!町のネズミと田舎のネズミ」が完成しました。
町のネズミと田舎のネズミをYouTubeで見る
このお話の原作は苦々しい終わり方なので、優しいラストにしたくて挑戦しました。
「カラスって醜いの? カラスの美しさって何だろう? 黒ってどういう色? 神様はなぜカラスを真っ黒に創られたの?・・・」と、いろんな質問で考えました。
ストーリー展開で迷ったのは、「黒そのものの美しさ」を追求するのか、それとも、「黒は他の色をひきたたせる素晴らしい特徴がある」とするのか…、という点です。
私の中では後者の思いが強かったのですが、「カラスを可哀想と思ってる?」とハブルータ仲間に言われ、すぐにはわからなかったのですが、その言葉がじわじわと心に響いてきました。
その話を夫にしたところ、「絶対、黒そのもので勝負しないと。この曲聴いたらいいよ」と勧められたのが『世界に一つだけの花』でした。今までさらっとしか聴いたことがなかったのですが、歌詞をかみしめながら聴いてみるとすごく良い曲で、これを繰り返し聴きながら後日談を考えました。
この間、カラスのことを沢山調べ、カラスのことを沢山考えたので、普段気にも留めなかったカラスに親しみを感じるようになりました。(笑)
鳥の王さま選びをYouTubeで見る
原作は、あの手この手と試してみてもブドウがとれず「どうせ酸っぱいさ」と捨て台詞をはいて行ってしまうお話です。捨て台詞をはきたくなる気持ちもわかります。キツネはその後どうなったのか気になって、ハブルータしながら後日談を考えました。
「あなたならどうする? 葡萄を諦める? 他に方法はないかなあ?・・・」
私は、「自分の力だけで何とかしようとしないで、誰かから取ってもらったらいいのに」と思いました。
でも、それをお話としてどう表現したら良いのかアイディアが浮かばず、18歳の息子に質問してみました。
そして、息子から返ってきた返事がこちらです。
『後日、ある大柄の動物が、子供の動物たちにその葡萄を取って与え、その子らが喜んでいる姿を目撃する。そして、キツネは自分のためだけの努力は虚しく終わるが、他人のために生きる姿は微笑ましいと知り、目撃して笑っている自分の姿に気付き、満足して帰るのだった』
これをベースにして後日談をつくりました。
酸っぱいぶどうをYouTubeで見る
「キリギリスは非難されるほど悪い?」
そこが疑問でハブルータで深掘りしてみました。
キリギリスのバイオリンは遊びなのだろうか?
「働く」と「遊ぶ」って対立することなんだろうか?
毎日コツコツ働くアリをバカにするようなことがあったら良くないと思いますが、キリギリスが大好きで得意なバイオリンを弾くことは素敵なことだと思いました。
気になって、キリギリスの生態を調べてみたのですが、『成虫のキリギリスが生きていられる期間は短く、6~9月の間のみで、冬の時期にはすでに成虫は死んでいてい、卵のみが土の中で越冬する』のだそうです。
冬を越せないキリギリスなら、尚更、夏の間は楽しくバイオリンを弾いてほしいなぁと思っちゃいました。
こうだったらいいな!ではキリギリスの生態に反して越冬させてしまいましたが、こうだったらいいな〜の想いを沢山詰め込んでみました。
アリとキリギリスをYouTubeで見る
元のお話のままで十分面白く学びが多いのですが、一つ引っかかったのが、10年後も一人目の職人は不満ばかりで代わり映えのない生活だったところでした。
「人ってそんなに簡単には変わらないよね…」
そう思いながらも、
「どんな時に人は変わるんだろう?」「何が人を変えるんだろう?」
そんなことをハブルータしながら、『三人目の職人の熱意と生き生きとした姿に周りが感化されていく』、そんな風になったらいいな!と意見がまとまり、このようなお話になりました。
3人のレンガ職人をYouTubeで見る
私の夫はドイツ人ですが、修士をアメリカで取得していますので絵本の翻訳であれば問題ないだろうと思い簡単に引き受けました。
私は夫に頼んで、これは夫の仕事と任せっきりにしました。
夫は夫で絵本と侮って後回しにしなかなか取り組んでくれませんでした。
やっとやってくれて提出しようと思いましたが、ふと夫の友達のイギリス人を思い出しました。
夫がいつも文章力の高さを称賛している人です。
念の為文章が良い状態であるか確認してもらおうと思い、連絡を取りました。
快く引き受けてはくれましたが、仕事に追われてやはりなかなか返事が返ってきません。
やっと返ってきたと思って急いで確認もせずに提出しました。
そうしたらなんと一番大切な落ちの部分が欠けていました。
私の侮りが夫に電波した結果だと反省しました。
その後も何度もミスを重ねましたが、チームの皆さんのナイスフォローで今日まで来れました。
たくさんの方に見て頂いて活用して頂ければと思っています。
これからも更に良い結果を出していけるように頑張ります。
英語版・はだかの王様(The King has No Clothes)をYouTubeで見る
英語版・ウサギとカメ(The Rabbit and the Turtle)をYouTubeで見る
元々のお話は、自分は偉いと勘違いし荷物を振り落とそうとしたロバを、主人が罵倒し何度も叩く…というラストです。
ハブルータをして一番にあがったのは「勘違いしたからって、罵倒したり叩くのは酷いよね」という意見でした。
勘違いは誰にでもありうることで、その後どのように考え行動するかが重要ではないかと思いました。
また、『人から拝まれる人・偉い人』ってどんな人だろう?と沢山考える中で、【謙虚な心】【感謝の気持ち】を持った人ではないかと思うに至りました。
後味の悪いお話にも独特の余韻がありますが、後味の悪さはカットして、こうだったらいいな!と思うお話にしてみました。
スペイン語字幕の最終チェックしていて面白いことに気が付きました。
ラテン人と日本人の感性の違いです。
家来たちが仕上がり具合を見に行って王様に報告するところがあります。
日本語では、
報告しながら「心が苦しくなりました」となっているので『dolor(苦しい痛い)』を使いました。
ですが、コスタリカ人のレインは『triste(悲しい)』と修正してきたのです。
この違い面白いですよね!
家来たちは嘘を報告しなければならなかったので、つまり《自分にも偽り王様にも偽ってしまったので心が苦しくなった》のですが、ラテンの人は《布地が自分には見えないから悲しい》と解釈するわけです。
良心との関係での心の状態を見るのではないんですよね。
あくまでも自分の感じ・個人的な感じなんですよね。
そんなことが分かり面白いなぁと思いました。
とても好きなお話の一つです。
子供の頃はとんち問答のような・謎々のような感覚で読んでいたが、大人になってその教訓の深さに感動した〜とハブルータ仲間が言ってました。
また、
「太陽が最後にドヤ顔するのが嫌なんだよね」
「旅人が池の中に飛び込むというラストが、太陽がやりすぎてる気がして引っかかるのよね」
という意見もでました。
そのあたりを沢山ハブルータして、太陽のキャラクターを考え、子供の時に読んでもわかりやすい「こうだったらいいな!」のお話を作ってみました。
とても難しいお話でした。
さすがノーベル文学賞を受賞した作品です。
難しいお話だからこそ、ハブルータをしながら読み解くのがお勧めです。
作者のメーテルリンクは一体何を伝えたかったんだろうね〜と、何度もメーテルリンクにまで思いを馳せました。
幸せとは何なのか?
「こうだったらいいな!青い鳥」を考えながら、幸せについて深く深く考察し、お話をまとめるのが大変でしたがとても貴重な期間となりました。
★はだかの王様
どう編集されるのかわからなかったので、後ろの方に小さく描いたかなり雑な侍女がドアップで現れたときは悲鳴を上げました。笑
3:09あたりの役人と王様の絵は、背の高い役人の頭が王様よりも高くなってしまわないように、王様に台に乗って頂きました。
今でもお気に入りの絵。
★町のネズミと田舎のネズミ
1番のお気に入り!
町のネズミの細い足に巻いてある包帯が、私の妹のツボだったらしく、全然面白い場面じゃないのに笑いが起きます!
★鳥の王様選び
画面におさめるために、鳥たちが実際の大きさとだいぶ違うのですが、シマエナガはさすがに大きすぎたかなと思いました。
★キツネとブドウ
このきつね、表情の豊かさピカイチ!!
すごくすごく見て欲しいポイントです。
特に「そろそろ家に帰ろっかな」の、軽いノリの喋り方がイメージ通りで大好きです!
田舎のネズミが友情出演しているので探してみてください〜
★アリとキリギリス
朗読の「忘れないでね!」がうちで大人気で、いまだに流行語です。
「洗濯物片付けなさいよー。忘れないでね!」というふうに使います。
ちゃんとアリの喋り方で。
★3人のレンガ職人
名前をつけたら愛着がわいて、作業効率が上がるかなと思い、勝手に3人に名前をつけました。
・やさぐれ若造のアンドレ
・マッチョパパのアントニオ(美人な奥さんとおてんば1人娘がいる)
・赤毛のマルコです。(非公式)(協力:母、妹)
★神様の像を運ぶロバ
荷車を何も考えないで描いてしまった結果、どう考えても引っ張ることができない形になってしまい、急きょ謎のロープを付け足しました。
★北風と太陽
北風のモデルはうちのオカメインコです。
カゴから出すと調子に乗ってビュンビュン飛び回ります。本当にそっくり。
★青い鳥
大変でした!!!
マルコが友情出演しています〜